ラベルデザイン
ロゴタイプデザイン
パッケージデザイン
広告デザイン
design: KENICHI OTANI
少年時代から憧れていたウイスキーのパッケージデザイン。
その道のプロではないがウイスキーが好きで仕方がない、という少数の方達で立ち上げたプロジェクト。
製造から販売までの一切を実行、監理する、という徹底したクラフトウイスキー。
自他ともに認めるウイスキー好きの私には、クライアントや包材の協力会社の方達との打ち合わせの時も、バックバーに納められた姿を想像してしまって、どこかに、にんまりした気持ちが潜んでしまう。
背景の黒色は一升ひとます、手書きで丁寧に、愛情を込めて鉛筆で塗り込んでいる。厚岸の地層に眠る泥炭を、鉛筆の炭素系鉱物(グラファイト)の質感や色で見立てた。その黒い背景は北海道の永遠と続く広大な地平線のようにボトルを一周し、正面から見ると果ては見えない。
ボトルを一周するラベルには、枯山水庭園に鎮座する石のように無作為に文字がレイアウトされている。その結果、このラベルの大きな特徴となる、正面がない。
つまり、この時代に反骨するように、全ての情報を捉える写真は撮影できない。ボトルを回しながら情報を確かめることになる。
文字はボトルを回す行為に反応するようにスピード感を持ち、若い醸造所にふさわしく、しかも、はしゃがないデザインの、サンセリフの斜体字を選んだ。文字の大きさ、太さも自然石のようにバラツキをバランスしている。
ラベルの色は、クライアントの社長から、FOUNDATIONS Xまでの大きな流れを構想しながら、毎回お題のように告げられて、それに相応しいラベルの色とキャップシールの色を模索して決定している。
箱のデザインも、ラベルのデザイン同様、毎回デザインを調整している。
毎回、落款のようなデザインを増やしたり、減らしたり、復活させたり(?)。
ボトルも箱も、次々と発売されるシリーズを目にして、手に取るたびに愉しめるよう工夫をしているつもりだ。
バックバーで他のウイスキーに紛れない独特のデザインにして、突飛でもなく、昔からそこに居たかのような落ち着きがあるデザイン。
新しい蒸留所だからといって、流行にはしゃいだデザインにならず、カウンターの前に置かれた時に、大人の男でも恥ずかしくならないデザインが達成されていると思う。
厚岸は、霧が多く、泥炭も豊富、同じく牡蠣の産地であるスコットランドのアイラ島に似て、静かで広大、力強い風景を持つ町である。時に怖ろしいほどのグレーの塊が支配する。
そんなこの地では、既にウイスキーを軸にブランディングが始まっているようだ。日本中から蒸留所を見学、町にてアイラ島のように牡蠣とウイスキーを一緒に食するスタイルを体験に訪れていると聞く。
厚岸ウイスキーは来年、晴れて、海外にも声高に”ウイスキー”を名乗れるようになる。
既に海外でも発売されているが、今後はフルボトルの”ウイスキー”の発売も予定され、ますますブランドが確かになっていくことであろう。
どこまでも併走していきたいものだ。
厚岸ウイスキー、
第4弾はブレンデッド。
"ウイスキー" の名乗りを挙げる前のイヴボトルとなった。
どんなに急いでも、時間をかけねば成り得ないこともある。
第1弾から、ラベルや箱や広告のデザインを担当している。
小さなボトルだが、北海道の途切れることのない地平線を写した。
ピートの層のような黒い帯は私の手書き。
短かった夏の終わりに、ソーダアップで飲み干したい。
厚岸ウイスキーの現行発売中、2種。
国内で販売されているものと、免税店で販売されているもの。
商品名のサロルンカムイ(湿原の神様、丹頂鶴)の存在と、厚岸蒸溜所初のウイスキー表示となるボトルという立場からデザインを展開させた。
ボトル色は、深い雪が隠しもつ青みを帯びた雪白。某ウイスキーメーカーの白磁ボトルの印象をまとった。
カラーリングは、前作までを踏襲してピートをイメージした鉛筆手書きにより揺れている黒帯を軸に、石膏のようにわずかに風味がついたグレー、グラファイトグレー、丹頂鶴の緋色の4色。
遠目に見える神秘的な丹頂鶴の佇まいをまもった。
ジャパニーズウイスキー、シングルモルト、ライトリー=ピーテッドという当ウイスキーの3つの特徴については、赤色の刻印としてデザインをおこした。今後も使用、新規に展開していく厚岸ウイスキーのブランディングツールの一つとなる。
今までのファウンデーションシリーズ4本と並べて5本を眺めるのも良いが、私は、宗達から始まる琳派でしばしばモチーフとなり、加山又造で最高に私の好みとなった、群鶴図屏風を本歌とした、こんな並べ方も良いと思っている。
そわそわしながら、世界へ羽ばたいていく前の休息の時間を愉しんているようだ。 cranes in snow
厚岸ウイスキーの現行発売中の化粧箱。
スピリット表示時代の明るいクラフト紙から、ウイスキー表示にふさわしい渋めの色合いのクラフト紙に変更した。
縄文の時代からモチーフとなる網目模様が、全体を濃淡で揺れながら覆う。
クラフト紙の微細な毛羽立ちが、光の加減によってこの模様を浮かび上がらせたり、消したりする。
この模様は、クラフト紙への白印刷だが、見せるか見えないかギリギリの線の細さとし、さらに白色の濃淡を施すことで、手に取って見たときの揺れるような効果を実現している。
赤色の刻印風のスタンプで、ジャパニーズウイスキー、シングルモルト、ライトリー=ピーテッドを表した。
今後、スペックが変更される毎に新しいスタンプが増えてくる予定だ。厚岸ウイスキーの誇りと多様性を証すブランディングツールとなっていく。
箱の中に入れた状態で、天頂の赤とボトルの赤色部分が連続させることで、化粧箱の中に入れたままのディスプレイを誘導してみた。
Fish-net-pattern, Japanese ancient design, wraps an important bottle.
The pattern means "avoidance of bad luck" also in Hokkaido area.